たくさんの動物たちが〔ル マルシェ デ メルヴェイユ〕のジュエリーや幸運のお守りをつくる仕事をしているワンダーファクトリー。そこを舞台に繰り広げられる、3つのフェアリーテイル(おとぎ話)をご紹介します。
あたたかくおだやかなある日のこと、ワンダーファクトリーのみんなが楽しく仕事をしていると、森の方から大きな音がきこえてきました。ドシーン!ドシーン!ドシーン!ドシーン!ドシーン!その音はだんだん大きくなり、まるでハンマーでたたかれているように地面がグラグラと揺れています。動物たちはみんなあわてて騒ぎはじめますが、だれも何が起きているのかわかりません。何かとても大きなものがファクトリーに向かってきているようです!
音がやんだと思ったら、そこに大きな大きなゾウが見えたので、みんな怖くなりいっせいに隠れました。ゾウがいったい何をしに来たのかわかりません。みんなが息をひそめていると、ゾウは茂みの中からそっと出てきて、親しみをこめて長い鼻を振りながら、とてもとてもやさしい声で語りかけました。「みなさん、こんにちは! 私の名前はエラワン。どうか怖がらないで。ここに来たのは、わたしもワンダーファクトリーで働きたいからなの!」
ゾウのエラワンは山のように背が高く、脚は森いちばんの老木のように太く、からだはファクトリー全体より大きいのです。巨大な耳をはためかせると、小さな竜巻がおきました。
ワンダーファクトリーの動物たちはしばらくすると、エラワンがとても不器用なことに気がつきました。彼女はみんなを手伝おうとするのですが、さわったものすべてをこわしてしまうのです。繊細なジュエリーをつくるには、その手は大きすぎて力もありすぎるのでした。ときには、ほかの動物たちをうっかり踏んでしまったり、ふり向きざまに大きなおしりではね飛ばしたりすることもあります。
エラワンは、みんなの役に立てないことが悲しくて、ワンダーファクトリーの裏の森で一人で泣いていました。その姿を見たサルのマノックは、エラワンを元気づけてあげたいと思い、大切にしまっておいたハート型のイヤリングをあげて、励ましました。「心配しないで、きっと何もかもうまくいくよ!」
自分のことを気にかけてくれる仲間がいると知って、ゾウのエラワンは元気が出てきました。そして顔を洗うために、近くの池に行き長い鼻で空中に水を吹きあげました。すると空にきれいな虹がかかったのです!「まあ! わたし虹をつくれたわ!」動物たちもいっせいにファクトリーから飛び出してきて、虹を見あげ、みんな笑顔になりました。
まもなく、エラワンはできることをいろいろ見つけていきました。暑い日には、ファクトリーとぎらつく太陽のあいだに立って仲間のために日かげをつくります。雨の日には大きなからだでファクトリーをすっぽりおおえるので、みんなが濡れずにすみます。そして晴れの日には、きれいな虹をつくることが大好きになりました。
ファクトリーの仲間たちも、お天気を気にせずいつも快適に働くことができて大喜びです。空に広がる虹を見つけたり、天気を操る大きなゾウのうわさを聞いて、ワンダーファクトリーにますますたくさんのお客さまが訪れるようになりました。
こうしてゾウのエラワンは、ワンダーファクトリーになくてはならない大切な仲間になったのです。
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