
3月初旬の寒空の下、パルクールアスリートのZENは色鮮やかなグッチのアイテムをまとい、渋谷パルコの屋上や外階段を縦横無尽に駆け巡った。
「人が作ったものには必ず意図があるんですよ。たとえば階段なら、『こうやって人が上り下りするはずだ』という前提があります。パルクールの技術によって、そこに違和感を持ち込むのが楽しいんです」
パルクールは街を駆け抜け、階段や壁を飛び越え、建物に飛びうつるなど、身体能力を駆使して移動するストリートカルチャーである。日本人初のプロ・パルクールアスリートとして活動するZENは、次のように考える。
「最初はたんに『こんな動きを自分もできるようになりたい』と思い、パルクールをはじめました。しかし、いまは『パルクールの技術を使って自分は何をしたいのか?』をいつも考えています。たとえば写真を撮るなら、ポージングはどうすべきか、ストールなどの小物があったほうがいいのか、なども考えますよ。衣装を何種類か持っていくこともあります」
今年1月、ZENはグッチのメンズコレクションを見るためファッションウィーク中のミラノを訪れた。この経験は彼にとって大きな刺激になったという。
「グッチのショーに訪れたゲストはもちろん、街を歩く人たちの個性的なスタイルにも驚きました。みんながファッションウィークという一大イベントを楽しんでいましたね。ファッションは自由なんだ、人と違っていいんだ、と思いましたね」
Photo: Shohki Eno, Direction: Nagisa Ichikawa
Movie Director: Norihito Tajimi, Camera: Nozomu Nakajima, Producer: Naoya Matsumoto
Hair & Make-up: grico TOMOMI
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