1980年代の会員制スポーツクラブにおけるハイカルチャーのシンボルから、多様なサブカルチャーに由来するシンボルを織り交ぜた現代のファッションへ。ヴィンテージの Gucci Tennis ロゴが、最新スタイルのエンブレムへと進化しました。
1980年代、それは世界的に経済が急成長を迎えた時代。ウォール街は当時、手にはブリーフケース、腕には高価な時計、そしてオーダーメイドのスーツをまとった人々で溢れました。ヤッピーと呼ばれたこの人々の多くは、ハーバード大学をはじめとしたアイビーリーグの出身者たち。金融ブローカーや起業家など、都会の若いエリート・ビジネスパーソンとして、アメリカンドリームを体現していました。ニューヨークのセレブが集う Studio 54 のようなディスコのきらめきとダウンタウンの超高層ビルのはざまで、並外れたライフスタイルを存分に謳歌。会員限定のスポーツクラブでは、スーツとネクタイにサスペンダーというスタイルから、1950年代のスポーツウェアとプレッピースタイルから受け継いだ要素をミックスしたカジュアルスタイルへ移り変わっていました。
スポーツの世界は時代を超えて常にグッチの伝統にインスピレーションをもたらしてきましたが、逆に GUCCI のロゴが、ヤッピーたちが通う会員制スポーツクラブを席巻していったのがまさしくこの1980年代です。1960年代からすでに登場していたレザーのゴルフバッグ、ロゴ入りのテニスラケットカバー、ラグジュアリーアイテムの一つひとつが、エリート会員たちの嗜好からインスピレーションを得ながら、プレタポルテの普及にともなって次第に進化していきました。こうしてロゴへの愛着は、日常のいたるところへ浸透して新たなドレスコードにまで昇華し、しばしばスポーツから借用されたディテールと融合しながら、現代的なライフスタイルの先駆けとなったのです。
最新コレクションのために再解釈された Gucci Tennis ロゴは、当時のスタイルを彷彿とさせます。ヴィンテージ感をたたえたこのシンボルが今回、かつてのスポーツクラブのくつろいだ雰囲気から脱し、理想の中に存在するグッチ チームのエンブレムとしてよみがえりました。今やグッチを代表する多様なディテールのひとつとなったエンブロイダリーにより、様々な影響やジャンルを織り交ぜたコンテンポラリーなルックの決め手として、ウォッシュ加工でヴィンテージ感を演出したポロシャツ、オーバーサイズ Tシャツ、スウェットスーツ、ストラクチャードジャケット、シェニール素材のトレーニングウエアなどに取り入れられています。
詳細を見る
^
クリップボードにコピー